金澤しつらえ2階の『茶房やなぎ庵』では、大樋焼のお茶碗で、お抹茶をお楽しみいただけます。ここに、金沢を代表する和菓子店『加賀藩御用菓子司 森八』の上生菓子を添えたセットが人気となっています。
大樋焼と森八は、それぞれ、三代前田利常に由来する加賀藩の茶道文化を代表する銘柄です。
利常は、京都や江戸から一流の名工を招いて文化振興をすすめた加賀藩中興の祖として知られます。当代一流の茶人でもあったことから、千宗室を招いて茶道の振興を図りました。宗室は千利休のひ孫で、のちの裏千家の始祖となる人物です。
宗室が加賀藩に招かれ、茶道茶具奉行となった際、ともに使えたのが楽焼の高弟であった初代大樋長左衛門です。金沢近郊の大樋村に良質な土を見出し、これを作陶に用いたことから大樋焼と名付けました。飴色の釉薬を特徴とし、楽焼唯一の脇窯として、いまも十一代にわたって受け継がれています。
『加賀藩御用菓子司 森八』は400年に及ぶ歴史のある和菓子店です。3代目の八左衛門は菓子屋を営むかたわら、前田利常より町年寄に命ぜられました。江戸に出資した際、利常の創意をもとに和菓子を創作し長正殿と名付けられました。揮毫は小堀遠州の筆によるものとされています。
それぞれ利常ゆかりの金沢を代表する茶道文化を伝えるセットと言えます。
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